最初に結論から書くと、「医学部生は臨床科目を決めて、その科目を極めるべき」です。その理由として、病院見学があります。
病院見学で同じ科をまわれば怖くない
病院見学でまわるかは「自分で選ぶ」
医学部5,6年生になると、「病院見学」をすることになると思います。ここでは、以下の二つの行為が行われます。
- 自分の興味のある病院を学生自身が見て、良い病院か判断する
- 病院側は、来た学生が、自分の病院にふさわしいか判断する
病院見学に、一つ、就職活動的側面があることは間違いありません。(むしろ、就活が他の学部に比べてゆるゆるな医学部生の、唯一の就職活動かもしれません。)
この病院見学の際、病院では、「一日一科」をまわることが多いです。また、まわりたい科は「学生自身が選ぶ権利がある」ことが多いです。
簡単な口頭試問があることも
病院見学で科をまわっているとき、簡単な口頭試問だったり、教育的解説だったりが、病院側から学生にされることがあります。
もちろん、その見学の際の口頭試問ですべてが決まるわけではありませんが、「就職活動もかねて」病院に行く学生としては、「聞かれたことにはなるべく適切な返答をしたい」ことに間違いはないでしょう。
そのため、病院見学に行くときは、ある程度の勉強をする人は多いでしょう。
自分の得意科目を決めて、どの病院見学でも、その科だけをまわればよい
そんな「口頭試問ありきの、病院見学」のためには、「自分の得意科目を決めて、どの病院見学でも、その科だけをまわるようにすればよい」のです。
例えば、A病院,B医院,Cセンターの3つの病院見学に行くとします。
- A病院では消化器内科見学
- B病院では脳神経外科見学
- C病院では総合診療科見学
とすると、病院見学のことに、毎回違う科目を勉強しなければなりません。これでは負担が大きいです。
- A病院で脳神経外科見学
- B病院でも脳神経外科見学
- C病院でも脳神経外科見学
とすれば、毎回同じ科を見るため、勉強量は1/3まで減ります。また、質問されるような内容も、被ってきており、適切な回答を返事することも容易になります。
同じ科をまわることで初めて「比較」できる
以上のような「学生の受け身な」「消極的な」理由のほかにも、「病院見学で一つの科をまわる」積極的な理由もあります。それは、「同じ科同士でしか病院の比較が難しい」ということです。
同じ科をまわらなければ、病院同士を比較できない
逆に、「同じ科をまわらなければ病院同士の比較が難しい」というところもあります。
- A病院では消化器内科見学
- B病院では脳神経外科見学
- C病院では総合診療科見学
たとえば、このような病院見学のやり方をしたときに、「A病院とB病院のどちらが良いか?」を比較できるでしょうか?
消化器内科と脳神経外科では、そもそも科としての性格が違いすぎますし、そこにいる先生の性格・雰囲気も大きく違います。どちらの病院が自分に適している科の比較としては、ナンセンスでしょう。病院同士を比べるなら、同じ科同士で比べるべきです。
志望科をさっさと決めるべき
ここまでで、「病院見学では同じ科をまわるべき」と力説してきました。では、その「科」をどうやって選べばよいか」という話になります。それは、「志望科」にして間違いないでしょう。
自分が一番長く過ごす科になる志望科
初期研修期間では、「自由選択期間」が(病院によってその長さは異なりますが)5-9か月間あります。初期研修が2年間しかないのに、その1/4以上は、自由期間として、自分の進みたい科などで初期研修を行うことになります。
そして、必修のローテート期間も合わせると、その「志望科をまわる期間」はさらに長くなります。その気になれば、初期研修期間の半分以上を「自分の進みたい科」で研修する可能性は十分にあります。
自分が一番長くいる環境が一番大事
例えば、自分が脳神経外科に進みたいとして、いくら麻酔科・消化器内科・その他の雰囲気が良くても、脳神経外科そのものが最悪だったら話になりません。
逆に、その場合、他の科がどれだけひどくても、志望科さえ素晴らしい環境であれば、自分としては満足になることも多いです。
その点、さっさと志望科を決めて、その志望科の見学をして、病院同士を比べれば、自分の生きたい病院の比較は容易になると思います。
まとめ
病院見学で同じ科(志望科)のみをまわることで
- 病院からの質疑応答に対応しやすくなる
- 病院同士の比較がしやすくなる
- 志望科の雰囲気を積極的に見ることで、初期研修期間を有意義にしやすい
といったメリットがあることから、同じ科をまわることには大きな価値がある。