医の倫理学

医の倫理学6-0 医療資源が分配できない問題・医療におけるヒト・モノ・カネ

  • 「医者のいうことを無視してきて、大病となった人のために、国がお金を払ってやらなアカンのか?自業自得やないかい。」
  • 「タバコしてきた人とタバコしてこなかった人を、同等に扱うのはおかしいんやないか?タバコしてたやつは自分のせいでそうなったんやから、手前でしりぬぐいせえや」

なんて意見もあると思います。

前回の記事では

  • 「医療資源が分配できないことがある」(全ての人の治療ができるわけではない)
  • 「その時はどうすべきか?」

について学習しました。

www.medudent.com

具体的には

  • 利益の最大化
  • 公平性

の二つの視点が大切と学びました。

今回はその「医療資源」について学びます。

医療資源

医療資源は具体的には以下の通りです。

  • 医療保険予算
  • 病院の運営費
  • 医師・看護師など医療従事者の数
  • 移植用の臓器の数
  • ベッドの数
  • 予防接種の配給

これらが医療資源として挙げられます。

ざっくり言えば

  • カネ
  • ヒト
  • モノ

これらは医療現場でも限りがあるという事です。

カネ・ヒト・モノ

カネ

カネの話は難しいです。

100億円かければ助かる命があったとします。では、その治療は行うべきか?当人が100億出すと言えば問題はありません。本人が医療サービスを購入するだけですから。

ただ、診療報酬制度などで、「国がお金を出す」場合。

「道徳の授業的」にはいかなる命も助けるべきですが。このような高額な費用のかかる治療をすべての人にできるわけではありません。

どこかで「カネ」は不足します。(財源には限りがありますから)そこで、他の人が医療を受けられなくもなります。

果たして、高額な費用の掛かる治療は、どこまで行うべきなのか?

ヒト

ヒトの不足は言わずもがなです。

地方での医師不足・看護師不足はよく言われた話です。これらにはたくさんの考えうる解決策がありますが、なかなか障壁が多いのも現実です。

現実では「仕事の効率を上げる」ことが目下の解決策とされています。(最近話題の働き方改革はその一端となるでしょうか?)

モノ

モノはある意味ではヒト・カネにつながるかもしれません。

単純なベッドの不足、医療器具の不足で、医療資源を受けられないこともあります。

モノはカネで解決できるモノだけではありません。臓器移植のドナーなどはカネでは買えません。(カネで買えるとしたら、それも大問題です。)

何かの疫病に対するワクチン。全ての人々に対する、全ての病気に対するワクチンを、常に保持することは難しいです。

何かの病気が大流行したとき、「ワクチンを誰から使うか?」

早いもの順?お金を出した人順?困っている人順?考えなければなりません。

新型インフルエンザのワクチン

治療やサービス、医薬品、医学的処置などの間の優先順位の設定がなされた具体的例を紹介します。

2009年、新型インフルエンザが流行した時、日本にはこの病気に対するワクチンがほとんどありませんでした。

海外から急きょ、ワクチンを輸入しましたが、海外でもインフルエンザは流行っており、輸入しても数は不足するという事態でした。

この時、ワクチンを優先されるものとして、優先順位の高い順に以下のような人が挙げられています。

  1. 医療従事者
  2. 妊婦
  3. 何らかの疾患を持つもの
  4. 小児
  5. 小児の保護者

この順にワクチンを接種するように、厚労省が発表しました。

  • 「1位に医療従事者がいるのは不公平でないか?」
  • 「医療従事者が自分たちを助けようとしているのではないか?」

とも言われたそうです。

ただ、ここには理由があって、

  • 「医療従事者は、新型インフルエンザに触れる機会が多い」
  • 「医療従事者間で新型インフルエンザが流行したら、逆にワクチンを受けられる人が減る」

という理由がありました。

まとめ

このように医療資源の不足する機会はあります。どうするのが適切か?考えましょう。