医学生向け

医学部生就活ーマッチングの基本事項

そもそもマッチングとは何か

今回の記事では、「医学部生の就職活動」、いわゆるマッチングについて書いていきます。(テクニカルな話は、「レジナビ」などに書いてあると思うので、今回は私の知るマッチング戦略の大枠を書いていこうと思います。)まず、「マッチング」とは何でしょう。何と何がマッチするものでしょうか。

  • 学生のニーズと病院のシーズがマッチング
  • 病院のニーズと学生のシーズがマッチング

以上二パターンが考えられます。それぞれについてみていきましょう。

学生のニーズと病院のシーズがマッチング

マッチングと聞いて、まず、真っ先に思い浮かぶのは「自分(学生自身)の希望(ニーズ)と病院のシーズ(強み)のマッチ」でしょう。

学生は病院探し(初期研修先の病院見学)では、以下のような視点で、「病院が自分のニーズを満たすだけのシーズを持っているかどうか」をチェックします。

  • この病院で自分のやりたいことはできるのだろうか?(臨床経験はたくさん積めるのだろうか?)
  • この病院の給料はどのくらいなのだろうか?
  • 病院の福利厚生・休みはどんなものだろうか?
  • 病院周辺の生活環境は整っているのだろうか?

このような「自分の希望」を「この職場に行けば叶えられるか?」を考えます。これがマッチしたときに、「マッチング成立」となります。このような形でのスムーズなマッチングは、田舎などに多いです。(医師不足で、学生は自由に病院を選びやすいため。)

病院のニーズと学生のシーズがマッチング

病院のニーズと学生のシーズのマッチングパターンもあります。

人気がある病院になると、「研修医希望数>研修医の定員」ということが起きます。その場合、病院側が、選別して、採用することになります。この状況において、学生は「選別される側」になります。

病院の「こんな人物像の人がうちの病院で働いてくれればよいな」というニーズと、学生の「僕はこんなことができる人です」というシーズがマッチして、マッチングが成立する時もあるのです。

病院見学はいつから始めるべきか

以上のように、病院と学生、相互のニーズとシーズのマッチで、マッチングが成立するわけです。ただ、ここで、学生側は、病院のシーズとニーズを理解しなければなりません。(この病院は自分の希望をかなえられる病院か/この病院が求めている人材像は何か)

ここの理解のために、病院見学があります。

基本的には、CBTが終わって、臨床修練が始まった5年生・6年生が病院見学に行けばよいでしょう。(それ以前だと、病院見学に行っても、あまり何もわからないまま、眺めるだけに終わる可能性が高いです。)

多くの施設を見に行くべき5年生

5年生の時は、まず、「多くの施設を見に行くべき」です。

自分の大学県から飛び出て、色んな都道府県の病院を見に行くとよいでしょう。視野を広く持ち、「世の中にはどんな病院があるか」ということを見ておくべきです。

「俺はこの病院に行くんだ!」と行きたい病院を決め、そこにしか見学に行かない学生もいますが、これは避けた方が良いです。「他の病院を知らない」と、「自分の病院のメリット・デメリットもわからない」からです。

研修を行っている間は、良いこともあれば悪いこともあります。「こんな病院にしなければよかった」「アイツと同じ病院に行けば、俺も輝かしい未来があったのかなあ」なんて思うこともあるでしょう。(「隣の芝は青い」とも言いますから、こんな悩みはごまんと出てきます。)そんな時でも、他の病院見学に行っていると、少しは「隣の芝は青い」状態は防ぐことができるのです。

進路の選択をしていく6年生

5年生の間に多くの施設見学に行き、バリエーションを増やしたら、次は、6年生で、そこから「選択」していきましょう。

色んな病院見学に行ったとすると、最初に見学に行った病院と、最後に見学に行った病院で、見るところ・感じるところなど色々と変わってきます。そこの比較をするためにも、気になった病院についてもう一度見学に行き、病院同士で比較しておくとよいでしょう。最初にすごく良いと感じていた病院でも、2回目に訪れると、「大したことないなあ」なんてなることもあります。

「結局、研修ってどこもほとんど同じじゃない?」

「結局、いろいろ悩んで病院決めたは良いけど、最終的にはどこで研修しても大体みんな同じじゃない?」という意見があります。

これは凡そ正しいと思います。「とてつもなく忙しい病院/緩い病院」の間での差は激しいと思いますが、なんとなく全体的には、みんな同じようなことをやるでしょう。

医者人生40年以上ある中で、最初の2年間は、全体の土台となるため大事ですが、逆に言えばたかが2年ともいえるのです。

この二年間は、まずは「医者として働ききる」(医者をやめない)ことが大事とはよく言われます。厳しい病院に行き心が病んで医者をやめるくらいなら、ゆっくり長期間医者を継続した方が最終的には成長するでしょう。

まずは、「医者を継続できるところ」を考えるのが一番良いでしょう。

自分の譲れないところ・妥協できるところを感じる

どんな研修病院でも100点満点素晴らしい病院はありません。長所は短所であり、短所は長所であるように、どの病院にも一長一短があります。自分にふさわしい病院を見つけることが、大事でしょう。