医学部事情

医学部の地域枠は利用すべきでない~メリット/デメリット

医学部には、他の学部と異なり、「地域枠」というものがあります。僕はこれは、なるべく利用するべきではないと考えています。その定義から、メリットデメリットまで見ていきます。

医学部地域枠とは

定義と中身

医学部の地域枠とは、へき地の医師不足解消のための処置です。地域枠で合格すると、一定期間、特定の(へき地の)病院に勤務することが求められることが多いです。(求めに生じない場合は特定の措置、例えば、お金を払うなどの責任が生じます。)

「従事要件」(卒業後に一定の都道府県等で一定期間勤務するなど)

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これまで、「地域枠」が各地方や大学で、定義が明確化されていなかったので、明確化されることになりました。

【地域枠】
▽一般の入学枠とは「別枠」で選抜する
▽卒直後から特定の都道府県内で9年間以上従事する
▽都道府県のキャリア形成プログラムに参加する
▽出身地や奨学金貸与については問わない

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一般的には、地域枠で大学に合格した人、奨学金などで地域枠を利用した人には、一定額のお金が毎年支給されることが多いです。

地域枠の縛り

では、医学部の地域枠の場合、「へき地で医療しなければならない」とはどういう事なのでしょうか?

大体は、(数値は地方により異なるが)「給付期間と同期間(or○倍期間)、県が指定した病院で、卒後数年間の間に働いてください。と言われることが多いです。地域枠で入学すると「卒後12年間の間で、いつでもいいから6年間、県が指定した病院で働いてください」言われるなどです。

縛りから抜けにくくなった

地域枠に関しては、一部の学生・医師が「離脱」することもありました。例えば、「これらの病院で勤務してください」と指定されていても、そこで働かないことです。この場合、お金を支払わなければならなかったりしますが、「自分のキャリアに比べれば、お金なんてたいしたことない」と払っていた人も数多くいたのです。

このようなことが起きていては「医師の偏在解消」の目的がなされません。対策も打たれてしまいました。

これまでに▼県や大学に十分に確認せずに、地域枠からの離脱が認められていない医師を採用した臨床研修病院では、補助金の減額を行い(2019年度から開始)、定員の原因や指定取り消しを行う▼都道府県の同意を得ずに専門研修を開始した者については、原則、日本専門医機構の専門医の認定を行わない―などの方向が固まっています。

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簡単に言えば、「地域枠から抜け出すことはかなり難しい」という状況になりました。

今回は医学部の地域枠のメリット・デメリット

今回は地域枠のメリットデメリットの内、主となる物それぞれ一つずつ書いていきます。

メリット~入学が楽になるorお金がもらえる

いろいろなお金のマーク(円)

地域枠のメリットは、

  • 「医学部地域枠」で入試を受けると、入試の受験層のレベルが下がるため、合格しやすい
  • 医学部地域枠の人は、毎月一定額のお金がもらえることが多い

この二つがメリットとなります。

医学部地域枠で受験すると、その大学への合格難易度が下がるため、「自分の本来の実力より、良い大学」に合格することができます。
また、地域枠をとると、県など地方自治体から、毎月一定額のお金が支給されるため(奨学金)、苦学生が、奨学金に手を出す傾向があります。(お金は大事!)

ただ、世の中にはうまい話ばかりがあるのではなく、デメリットもあります。

デメリット~選択肢が狭まる

医学部奨学金の一番のデメリット、それは、「選択肢が狭まること」です。

例えば、最近、専門医制度では、特定の病院(県が指定する病院)で勉強して専門医を取ります。もし、県が指定する病院で専門医が取れなかったら、地域枠をとっていた人は、専門医をあきらめるしかありません。もし、指定する病院で専門医が取れるとしても、そこ(病院が募集する医師)には定員があります。

地域枠ではない医者の場合、「県が指定していない病院」でも、「県が指定している病院」でも、どちらでも(すべての病院で)研修をする選択肢、チャンスがあります。一方で、地域枠で医学部を卒業していると、「県が指定する病院」でしかチャンスがありません。もちろん県外にも出られません。「地域枠の医者同士」で枠を争うことになります。

ほかにも、「あの病院に行きたい」と思ってもその夢はかなわなくなります。「あの病院は給与がいいから行きたい」と思っても行けないのです。

僕はお勧めはしない

チャンスを逃すな

僕は地域枠で大学に通う事をお勧めしません。一時の恩恵のために、後々、自分の成長するチャンスを逃してはいけないと思うからです。

とはいえ、皆様それぞれに、様々な事情があるので、ごちゃごちゃ言えませんが、僕はお勧めはしません。

大学卒業から就職まで地元で考えている人(僕は推奨)はとってもいいかも?位に考えています。(人生何があるか分かりませんから、選択肢を広く持っておくと言うことで、わざわざとらなくてもいいとは思います。)