今回は「医者」と「医学博士」は全く別であるということについて書いていきます。
医師とは医学博士とは
まず最初に書いておくと、「医師」と「医学博士」は全く別者です。両者は独立しています。それぞれの定義についてみていきましょう。
医師とは
医師とはつまり「おいしゃさん」のことです。
病院に行った時に診察をしてくれる人です。医師免許を持っています。
(法律的に書くと、「医業に関して業務独占をして、医師としての名称独占をする職業」です。詳しくは以下のページをご覧ください。)
医学博士とは
では医学博士とは何かといいますと、「医学研究科(大学院)の博士課程を修了した者」です。
例えば、工学部の大学院を出れば、「博士(工学研究科)」となります。医学部の大学院を出れば、「博士(医学研究科)」となります。この「博士(医学研究科)」が「医学博士」と言われます。
「医学博士」は「医学研究の能力を持つ」ことを証明する肩書きになります。
「大学で医学部を卒業して医師国家試験に通った」「おいしゃさん」でなくても、「医学系研究科の大学院を卒業すれば「医学博士」にはなれるのです。
医師であり医学博士でないor医学博士であり医師でない
医師と医学博士は全く別者ということは分かっていただけたでしょうか?つまり、世の中には以下の3つの存在があります。
- 医師であり、かつ医学博士(お医者さん。かつ、医学研究科博士課程を修了)
- 医師(お医者さん。ただ、医学研究科博士課程は修了してない。)
- 医学博士(医師ではないが、医学研究科博士課程を修了。)
以上三つの存在があるのです。これらの存在を解釈すると以下のようになります。
- 医師であり、かつ医学博士(病院で働けるし、研究もやってきた。)
- 医師(病院で働けるけど研究はしたことない。)
- 医学博士(病院では働けないけど、研究はしてきた)
こんな感じになります。
肩書きとして強いのは?
「肩書き」で評価される時は、
- 臨床の現場では1>2>>>>3
- 研究の現場では1>3>>>>2
となります。
臨床の現場では1>2>>>>3
例えば、臨床の現場に出ていても、「研究を経験したことがある医師」は臨床現場でも、研究のことを考えられます。
普通の医師以上に働くことも可能です。そのため1>2です。3は臨床現場では働けないのでどうしようもありません。
研究の現場では1>3>>>>2
研究の現場でも1>3です。
同じく医学研究か博士課程修了者が研究をするにしても、1「医師であり、医学博士」は臨床現場を意識しながら研究を進めることができます。一方、3「医師でない医学博士」は臨床現場を意識せず研究をするしかないので1>3です。
そして、2「ただの医師」は研究能力は弱いので研究現場ではどうしようもありません。