放射線

放射線の人間への影響の目安~自然放射線、人工放射線

さて前回、放射線、放射能、放射性物質について学習しました。また、放射線の単位についても学習しました。人体への影響を考える時はSv(シーベルト)という単位を使うのでした。www.medudent.com

今回は以下の内容について学習します。

  • 放射線が身の回りにどのくらいの強さで存在するか、
  • 我々はどの程度、被曝してしまっているのか

(例えば、病院の検査でも被ばくはします。それが、どの程度の者なのか学習します。)

前回の記事を始めとして3日間にわたって放射線や原発について学んでいます。第一回第二回(今回)第三回の記事と併せて読んでいただけると幸いです。

自然放射線量

まずは事実を確認!

まず、我々は、無意識のうちに放射線を浴びています。その内訳は以下の通りです。

↓表1、内部被ばくと外部被ばくの内訳

被ばく 線源 実行線量(mSv/年)
外部被ばく 宇宙線 0.3
大地放射線 0.33
内部被ばく
(吸入)
ラドン 0.37
トロン 0.09
喫煙 0.01
内部被ばく
(経口)
鉛210 0.8
炭素14 0.01
カリウム40 0.18

↓表2内部被ばく、外部被ばくの日本と世界

単位mSv/年
日本 世界平均
外部被ばく
(宇宙船)
0.3 0.39
外部被ばく
(大地放射性核種)
0.33 0.48
内部被ばく
(経口摂取)
0.99 0.29
内部被ばく
(吸入摂取)
0.48 1.26
合計 2.1 2.42

表を見て、まず、目につくのは以下の二つの単語です。

  • 内部被ばく
  • 外部被ばく

放射線を浴びることを被ばく(「被爆」は原爆などによる被ばくのことです。一般的には「被ばく」:「ばく」はひらがな)と言います。

その被ばくには「内部」と「外部」があるのです。

外部被ばくと内部被ばく

字の通りなのですが

外部被ばくは体の外からの放射線

内部被ばくは体の内からの放射線の影響を受けています。

放射性物質が体に!?

「え!?放射性物質が体にある!?」なんて不安に思う必要はありません。

放射性物質はどこにでもあります。

例えば魚にも入っています。つまり、魚を食べれば、内部被ばくを受けるのです。

じゃあ、魚は食べるべきではないか?

そんなことはありません。

魚を食べて受ける放射線量は少なく、「魚を食べるメリット>魚を食べるデメリット」となっているでしょう。

自然放射線の実行線量(体への影響)は「年間で2.1mSv」です。(表2)

これがどの程度の者なのか?

これから学習していきましょう!

表を見てわかること

表Ⅱで赤字にしたところがあります。

これは日本と海外を比べて、それぞれ放射線の実行線量が多い所に赤色を付けています。では、これらを見ていきましょう。

内部被ばく経口摂取(日本>海外)

内部被ばく(経口摂取)は「日本>海外」となっています。

この原因はです。

表1を見てください。

内部被ばく経口摂取の原因の多くは。ポロニウム210が原因となっています。ポロニウム210は魚介類に多く含まれます。そのため、魚を食べる日本人には大きく出るのです。

内部被ばく吸入摂取(海外>日本)

では、内部被ばく吸入摂取で海外>日本となるのは、なぜでしょう?

先ほどの原因が魚だったから今度は肉!?

いえ、正解は建築資材です。

日本は木材の家が多く吸入接種による内部被ばくは少ないですが、海外だと多いそうです。

人工放射線~医療

また事実を確認

↓表3医療被ばくによる国民1人当たりの年間実行線量

線源 実行線量(mSV/年)
X線診断 1,47
X線CT検査 2,3
集団検診(胃) 0,038
集団検診(胸部) 0,0097
歯科X線 0,023
合計(その他も合わせて) 3.87

年間で3.8mSv !?

医療被ばくでは年間3.8mSvもうけています。この数値は世界的には日本はかなり高い方です。

しかし、日本人の平均寿命が高いのもまた事実。

放射線で被爆するデメリットよりも、それによって早期に病気を見つけるメリットの方が大きいということです。

人工放射線~職業被ばく

医療被ばくと同様に職業柄、被ばくせざるを得ない人もいます。医療現場では放射線技師さんなんかは特にそうです。

この人たちには「年間で20mSv(5年間の平均)以上」被ばくしてはいけないということになっています。

なぜ20mSv/年か?

なんで「20mSvという値が出てきた?!?」と思いますよね?

この数値、実は適当に決められているわけではありません。「他の職業とのリスク比較」で決められています。

例えば、タクシーの運転手さんは交通事故で死ぬ確率が他の職業の人より高いです。タクシーの運転手さんも仕事中に事故で死ぬ確率はあります。工事現場で事故にあってしまう大工さんもいます。

多くの職業には一定程度のリスクがあるわけです。「職業柄放射線を浴びる人も、同じ程度、リスクを背負っていても問題ない」「同じ程度のリスクを背負って職務を遂行しても問題はない」ということです。

そのため、目安で言うと

  • タクシーの運転手さんが仕事中に死ぬ確率
  • 放射線を扱う人が仕事が原因で死ぬ確率

以上二つが、同じようになるようにした値が「20mSv/年」ということです。

緊急時には

しかし、この20mSv/年が変わるときがあります。

緊急時です。

緊急時には20mSvだったものが100mSvまで上がります。

ただし、この条件をクリアする人は「妊娠できない人、もしくは妊娠する意思がない人」に限ります。

これは、女性の権利とかそういうものでなく、「将来、生まれてくる子供の権利」です。放射線を職業柄扱う人に対してはそこまで考えて決まりがあるのです。

放射線に関わる仕事はリスキー!?

これらのことからわかりますが、「放射線に関わる仕事はやめといたほうが良い」とか、そういう次元の話はありません。

どの仕事にもリスクはあります。緊急時にはリスクは増えます。

その、他の人が背負っていると同じだけのリスクを放射線を扱う人は負っているというだけの話です。(むしろ基準よりは下だから平均的な職業より安全かも!?)

イメージでそのようなことは言わないでほしいです。

まとめ

今回は放射線の大きさの目安について学習しました。

  • 何もなければ自然から2mSv程度、
  • 医療現場などで4mSv程度

以上のように日常生活の中でも被ばくしていることが分かりした。

また、職業柄被ばくする人は「年間20mSv程度」までなら被ばくしても問題ないことも分かりました。

これくらいなら問題ないということです。

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参考文献

  • 表2:原子力安全協会「新版生活環境放射線」(2011)
  • :UNSCEAR2000年報告書
  • 表3:UNSCEAR2008報告書