「僕たち、医学部生の将来は暗い」という噂があります。
その理由はTPPです。
TPPで日本の医師免許等も、他の国の医師免許と統合されるのではないかと・・・今回はその件について考えたこと。調べたことを記します。
TPPで医師免許統合?日本の医者は路頭に迷う!?
少し自分語りをします。
僕が高校生の時、(僕の高校はその地方では有名な進学校だったので)生徒が自分でいろいろ調べて、皆の前でプレゼンする機会がありました。
僕は弁慶の立往生がなぜ起きるかを調べて発表しました。(物理選択はしたものの、生物も面白いとは思っていた。)
このプレゼン大会の中で、クラスでも真面目なA君はこう言いました。
「TPPでは免許制度なども統合される。海外から人件費の安い医者は流入する。医学部進学は安定ではない。破滅だ。」と。
そして、彼は日本で一番頭のいい工学部に行きました。
普段何も考えてなかった僕は、「ほえー医者ってもう安定やないんか。まあ、面白そうやし医者になろ。」と医学部に入りました。
あのA君の言葉は僕の頭に残っています。なぜなら、医学部内でも同様のうわさはあるからです。(ごく一部)
僕たち医学部生は、これまで「お受験」に高校時代の青春を費やし、医学部に入ってからも勉強を頑張っています。それなのに、TPPの導入により、職を失い路頭に迷うなんてことになっては困ります。
得体も知れない外国人に自分の将来の職場を奪われてはたまったもんじゃありません。(さすがに医学が楽しくても、路頭には迷いたくない・・・・)
でも最近になって、TPPで医師免許統合なんてものは途方もなく考えにくいことで、もしあったとしても、医師は不安になったり、将来におびえる必要はないと思うようになってます。
その理由を以下に記していきましょう。
TPPで日本の医療は変わらない
今日の日本の医療制度はすごい
まず、僕は、日本がTPPに加盟しようが、海外の医師は日本へ入ってこないと言います。
なぜか?
「日本の医師会(医者の団体)が反対するから」
それも理由としてはあります。
ただ、それ以外にももっと本質的な理由があります。
「医者の職場」とか、「医者の利権」とか、そういう汚い話以外に、大きな理由があります。
それが日本の医療制度です。
日本の診療報酬制度については以下のページを一度読んでほしいです。
診療報酬が崩壊すれば
「海外の安い医者が入ってくる⇒日本の医者が路頭に迷う」
この理論の中には、海外の医者が、
- 安く医療サービスをする
- 海外独自の医療を取り入れる
ことが想定されています。
しかし、「診療報酬制度と医療の安定化 」でも、述べましたが、日本には診療報酬制度があります。
海外の医者が大量に流入する時には、このシステムが終わっていることになります。
もし、診療報酬制度が終わると、医療が「売り物」になるのです。
高い金を出したものが優先的に検査を受けられ、貧乏人はあとまわし、なんてことは普通に起きえます。
救急車を読んだら、その場でまず、お金が請求され、払えない場合は救急車に乗れない。
こんな将来、誰が望むでしょうか?(お金持ちのあなたは望むかもしれないが)
でも、述べたましたが、診療報酬制度は最高の「資産の再分配」なのです。
もし、これが崩れるようなら、日本人は、立ち上がらなければならない。
ここまで成功してきた医療制度を、外国の言いなりになり、ハイハイと変えてしまえば、それは大変なことになるでしょう。
政府や医師会の見解
医療制度を変えろと言っていたのは誰でしょう?
有名なのはアメリカさんです。
かの国では、医療は売り物です。お金持ちが優先されます。
これに対して日本医師会は日本政府にこう申してます。
政府に対する要請
1.政府は、TPP において、将来にわたって日本の公的医療保険制度を
除外することを明言すること。
2.政府は、TPP交渉参加いかんにかかわらず、医療の安全・安心を守
るための政策、たとえば、混合診療の全面解禁を行なわないこと、医
療に株式会社を参入させないことなどを個別、具体的に国民に約束
すること。TPP 交渉参加にむけての見解(抜粋)
2011年11月2日
日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会2011年11月30日社団法人 日本医師会http://dl.med.or.jp/dl-med/nichikara/tpp/TPP_20111130_PPT.pdfより
そして、日本政府の見解です。
医師・看護師等の入国・滞在については、我が国は約束しておらず、医師免許等の相互承認も認めていません
言語・信用・実力の壁
まだまだ外国の医師への問題点はあります。
言語
「外国人は、日本に来るためなら努力する。日本語なんてすぐマスターする。」なんて言いう人もいますが、そうでしょうか?
医者になるのって、そこまで簡単ではありません。日本語も医学と同時にマスターできるような優秀な人なら、日本に来るよりもむしろ、
- 医療の市場化が進んでいる
- 世界共通語の英語を使える
米国に行った方がもうかります。
信用
僕らは日本人です。
「文化の違いのある人に、体を診てもらいたいですか?」って話です。
「安くなるならいいよ」って言う人もいますが・・・・
ここは人それぞれかもしれません。
実力
- 「外国の医療はすごいんだー」
- 「あんなこともこんなこともできる」
なんて言われてますが、別に日本の医療はそんなに遅れてないと思います。
(新しい分野に進みやすいか?といわれたら規制などで進みにくいかもしれませんが・・・)
また、日本で必要とされる医師の技能と、海外で必要とされるものも違ってきます。(日本は高齢化が進んでいたり、日本独特に流行する病気があったりする。)
診断基準
また、国ごとに、病気の診断基準が変わったりするので、そこの摺合せも大きな障壁になります。
この病気ががんかそうでないか?
この判断で、もらえる生命保険の額が変わってきたりします。
生命保険システムなどとも、調整を重ねなければなりません。
万が一医師免許が統合された、逆にチャンス
もし医者が入ってきたら
もし、海外の医者が日本に流入してきたらどうでしょう?
その時は、医療制度も崩壊しています。
完全に腕っぷしで生き残るしかありません。
できる医者は伸び、できない医者は潰れます。
医療も売り物になり、お金さえあればいつでも医者にかかれます。
本当に不安になるべきか?(医者を目指す人へ)
日本にいると安定を求めて、「海外から医者来たらどうしよう・・」なんて不安になりますが、僕は、もし医者が流入しても、医者にとってはこれはチャンスだと思うのです。(医療制度崩壊は日本人にとっての危機であり、危惧しなければなりませんが)
海外から医者が流入してきますが、自分も海外へ簡単に行けるわけです。
英語を話す人は1から日本語を学びますが、僕らは英語はある程度はできるわけです。つまり、日本人は、簡単に留学できる。
これは大きなチャンスではないでしょうか?
むしろ、医師免許が統合されることは、医師にとってはチャンスがいろんなところに広がる、いいものになるかもしれません。(日本がどうなるかはわかりませんが・・・・)
医者を目指していない人へ
今回、僕は「日本の医療制度は素晴らしい」との観点で、医師免許統合は危険だと言いましたが、これも見方は様々です。
お金持ちの人からしたら、バカに長い病院の待ち時間を、諭吉様何枚かで、簡単にパスできます。
救急車も、有料化されれば、車を運転していて、救急車のために道を譲る必要もなくなります。
賛否両論ある話です。
ぜひ、いろいろと考えてみてください!
まとめ
今回はTPPで日本の医師は淘汰されるかについて書きました。
個人の見解としては「日本の医師は淘汰されない。」
しかし、多くの意見もあります。
ぜひ、皆様にも考えてもらいたいと思います。